「手当!手当しないと!
湊……離して?」
皆の手当しないと。
なのに、湊は腰に巻いた腕を離してくれない。
……湊の膝の上から、移動させてくれない。
「やだ……お前、また居なくなる。」
キュン
ヤバい、ヤバいよ。
湊が「子犬……」に見える。
耳の垂れた子犬。
捨てないで?って見てる子犬。
……ちょーカワイイ。
ギュッと腕に力を更に入れ、あたしの肩に顎を乗せる湊。
「ふふふっ……もう、居なくならないよ。」
緩む頬を隠さないで、湊の頭を撫でながら言えば、
「お前、昨年もそう言ってまた消えたじゃねぇか。」
前科があるらしく、信じて貰えなかった。
「ど、努力する!」
「努力しなくても、今日からお前を監禁するから安心しろ。」
「……へ?」
「「は?」」
いや、湊さん?何を言ってるのかな?
監禁…もう犯罪だよ?それ。
あ、人の事言えないけどさ。
「だから努力しなくて良い。
俺の家に監禁してやるから。」
「ん?」
「お前が戻って来た時の為に、もう必要な物は揃えてある。
一生閉じ込められるように部屋も用意した。」
「「「…………」」」
あれ、さっきまでは可愛かったのに……
今、湊が大魔王に見える。


