眠り姫と総長様 II


「手当!手当しないと!
湊……離して?」


皆の手当しないと。

なのに、湊は腰に巻いた腕を離してくれない。


……湊の膝の上から、移動させてくれない。


「やだ……お前、また居なくなる。」


キュン


ヤバい、ヤバいよ。


湊が「子犬……」に見える。


耳の垂れた子犬。
捨てないで?って見てる子犬。


……ちょーカワイイ。


ギュッと腕に力を更に入れ、あたしの肩に顎を乗せる湊。


「ふふふっ……もう、居なくならないよ。」


緩む頬を隠さないで、湊の頭を撫でながら言えば、


「お前、昨年もそう言ってまた消えたじゃねぇか。」


前科があるらしく、信じて貰えなかった。


「ど、努力する!」


「努力しなくても、今日からお前を監禁するから安心しろ。」


「……へ?」


「「は?」」


いや、湊さん?何を言ってるのかな?


監禁…もう犯罪だよ?それ。

あ、人の事言えないけどさ。


「だから努力しなくて良い。
俺の家に監禁してやるから。」


「ん?」


「お前が戻って来た時の為に、もう必要な物は揃えてある。
一生閉じ込められるように部屋も用意した。」


「「「…………」」」



あれ、さっきまでは可愛かったのに……
今、湊が大魔王に見える。