眠り姫と総長様 II


誰も口を開かないまま、倉庫の中に入る。


下の子達は先に戻っていたみたいで、あたし達を迎えてくれた。


「未衣さん!お帰りなさい!」

「もう消えないで下さいよ!」

「俺たちの心臓持たないッス!」

「男ばっかでムサかったんッスから!」



湊と同じような事を言われた。



「皆ただいまー!
心配かけてごめんなさい。」


頭を下げて謝りたかったんだけど……車を降りると湊にまたお姫様抱っこをされた為出来ないのだ。



あぁ。ここはあったかい。


大好きなあたしの居場所。


ボロボロなのに、輝いて見える皆。


すごく笑顔で、怪我なんて忘れてるくらい楽しそうだ。


湊が幹部室に行こうとするから、必然的にあたしも幹部室に行く事になる。


後ろからこーちゃんと海くんも付いてきている。



ガチャ


久しぶりの幹部室は……荒れてる。汚い。それに限る。


あたしが居た時、こんな汚くなかったんだけどなぁー。


灰皿一杯のタバコにお酒の缶にお菓子の袋に弁当の箱の放置。

おまけに……


「ドラム缶?」


何故か部屋の隅に、ボロボロの大量のドラム缶が転がっている。


こんな物、なかったよね?


「あーそれはさ、湊のストレス発散道具。この一ヶ月で5個壊したよ。こいつ。」


ウヒャヒャヒャと笑えば、「ってぇ…」切れた唇が痛んで涙目のこーちゃん。