痛い位に私を正面から抱き締めてる湊。
私はそっと、湊の背中に腕を回した。
「捜した。今まで何処に居やがった。
…マジで消えたのかと思った。」
「ごめんね……」
言い訳する気にも、今話す気にもなれなかった。
口から出てくるのは、謝罪の言葉のみ。
穏やかになっていく心に安心して、私は目を瞑る。
「おい、倉庫戻んぞ。」
「……きゃっ!」
落ち着いて来た所で、タイミング良く後ろであたし達を見ているであろう皆に指示を出した湊。
…あたしはお姫様抱っこをされて、私は湊に運ばれている。
「み、湊?」
「お前、捕まえて置かないとすぐ居なくなるから。
毎回消えるんじゃ、俺の心臓が持たねぇ。」
ルンルンと効果音が付きそうな位、上機嫌な湊。
「やっと捕まえた。」
「ん……」
一生懸命捜してくれた湊に何だか申し訳なくて、私はただ湊の首にしがみつく。
「お、未衣ちゃん久しぶり」
車の座席に優しく降ろされると、運転席には懐かしの仁さん。
「仁さん久しぶりです……」
「おうよ。
おら、てめぇらもチンタラしてねぇで乗れ乗れ。」
顔が腫れてるこーちゃんと…うわ、痛そ。
足を少し引きずってる海くんを急かす仁さん。
りっくんは組員に先に倉庫まで運んでもらった。
湊は無傷で、一人だけご機嫌だ。
…あたしの腰をがっちりガードして離さない。


