眠り姫と総長様 II










……出た、筈だった。



あれ、可笑しいなー。


幻覚が見える。さっきと景色が違うぞ?

あれあれー?


私が今さっきまで歩こうとしていた方向は外で、車と空が見えていた筈だ。


なのに何故だろう……


背景に倉庫の中が見えて、目の前には湊が居る。


一瞬で私の進行方向が変わってしまったではないか。


隣に立つ元凶である、むぅちゃんを睨む。


「お嬢、カッコよく去ろうとした所悪いですけど、ガキ共と帰って下さい。」


「……なんで?」


むぅちゃん、いきなり何を言いだす。


「だって仕事終わりましたし。
報告は俺がしとくんで。」


「……帰る。」


むぅちゃんは、基本無口だ。

言葉が足らない。

少し、不器用な所とか湊に似てる。


「お嬢。お嬢の車のスペース空けてないんで。そいつらに送ってもらって。」


……たまに鬼畜な所とかもそっくりだ。


「え、むぅちゃん!?」


颯爽と帰ってしまったむぅちゃん。


残された私達の間に残るのは沈黙のみ。


「「「「…………」」」」


むぅちゃんの消えた方をポケーっと見ていた私。


フワリ


いつの間にか、大好きで堪らない湊の匂いに包まれていた。


「未衣……未衣、未衣、未衣。
良かった……」


「ご、めん…なさい……」


すごく心が安心した。