……出た、筈だった。
あれ、可笑しいなー。
幻覚が見える。さっきと景色が違うぞ?
あれあれー?
私が今さっきまで歩こうとしていた方向は外で、車と空が見えていた筈だ。
なのに何故だろう……
背景に倉庫の中が見えて、目の前には湊が居る。
一瞬で私の進行方向が変わってしまったではないか。
隣に立つ元凶である、むぅちゃんを睨む。
「お嬢、カッコよく去ろうとした所悪いですけど、ガキ共と帰って下さい。」
「……なんで?」
むぅちゃん、いきなり何を言いだす。
「だって仕事終わりましたし。
報告は俺がしとくんで。」
「……帰る。」
むぅちゃんは、基本無口だ。
言葉が足らない。
少し、不器用な所とか湊に似てる。
「お嬢。お嬢の車のスペース空けてないんで。そいつらに送ってもらって。」
……たまに鬼畜な所とかもそっくりだ。
「え、むぅちゃん!?」
颯爽と帰ってしまったむぅちゃん。
残された私達の間に残るのは沈黙のみ。
「「「「…………」」」」
むぅちゃんの消えた方をポケーっと見ていた私。
フワリ
いつの間にか、大好きで堪らない湊の匂いに包まれていた。
「未衣……未衣、未衣、未衣。
良かった……」
「ご、めん…なさい……」
すごく心が安心した。


