ーー「あー、テステス。最高司令官、こちら秦。どうぞぉー。」
なんとも未衣のような緩い喋りで登場した、名前だけ聞いた事のある秦さん。
確か、雅さんの側近だったと思う。
「クズ共は?」
ーー「タヌキは拘束したまま放置で、サルは組長の玩具でーす。どうぞぉー。」
タヌキとサルって誰だよ!
「アホがサルの声を聞きたいらしい。」
ーー「えー、了解しましたー。」
……緩い。
てか、マジで何でその単語だけで会話が成り立つのか教えて欲しい。
ここに居る誰も、話の内容が分からない。
「つ、翼さん!助けて下さい!」
向こうの総長が電話に必死に喋りかけてる。
でも、聞こえてくるのは
ーー「グホッ!……ぐぁぁ!……いぎゃぁぁぁ!……や、止めてくれ!た、頼む!………うぁぁぁぁぁ!」
聞くに耐えない悲鳴と、骨の折れる音。
これは、山崎翼の声だ。
「分かったか?もう、お前を助ける奴なんて居ない。
ただの駒が調子に乗るな。」
ーー「どー?あ、最高司令官、コッチもスピーカーにしてるから指示をお願いします。
組員が、最高司令官から指示を聞きたいんだって言うからさー。」
悲鳴が聞こえなくなったと思ったら、また緩い喋りが倉庫に響く。
電話の向こうに居る組員も、今この倉庫に居る組員も、未衣の指示を待っている。
「遠慮は要らない。
ーーーーーー殺れ。」
この日、関西を束ねていた山崎組と
関東No.5の暴走族、殺鬼が
篠原組によって潰された。


