眠り姫と総長様 II


ーー「あー、テステス。最高司令官、こちら秦。どうぞぉー。」


なんとも未衣のような緩い喋りで登場した、名前だけ聞いた事のある秦さん。

確か、雅さんの側近だったと思う。


「クズ共は?」


ーー「タヌキは拘束したまま放置で、サルは組長の玩具でーす。どうぞぉー。」


タヌキとサルって誰だよ!


「アホがサルの声を聞きたいらしい。」


ーー「えー、了解しましたー。」


……緩い。


てか、マジで何でその単語だけで会話が成り立つのか教えて欲しい。


ここに居る誰も、話の内容が分からない。


「つ、翼さん!助けて下さい!」


向こうの総長が電話に必死に喋りかけてる。


でも、聞こえてくるのは


ーー「グホッ!……ぐぁぁ!……いぎゃぁぁぁ!……や、止めてくれ!た、頼む!………うぁぁぁぁぁ!」


聞くに耐えない悲鳴と、骨の折れる音。

これは、山崎翼の声だ。


「分かったか?もう、お前を助ける奴なんて居ない。
ただの駒が調子に乗るな。」


ーー「どー?あ、最高司令官、コッチもスピーカーにしてるから指示をお願いします。
組員が、最高司令官から指示を聞きたいんだって言うからさー。」


悲鳴が聞こえなくなったと思ったら、また緩い喋りが倉庫に響く。



電話の向こうに居る組員も、今この倉庫に居る組員も、未衣の指示を待っている。




「遠慮は要らない。


ーーーーーー殺れ。」





この日、関西を束ねていた山崎組と
関東No.5の暴走族、殺鬼が

篠原組によって潰された。