眠り姫と総長様 II


俺は、湊と組員から未衣に目を移す。



「私、ここまで怒った事なんてないからさぁー。
手加減出来るか分からないんだよねー?」


もしかしたら殺しちゃうかもー、と
クスクス楽しそうに笑っている未衣。


「お、俺は……ひ、こっち来んなっ!」


腰を抜かしたのか、尻餅をついて後退ってる向こうの総長。


「ねぇ、湊に何しようとしたの?
拳銃なんて向けて。」


「つ、翼さんの命令で……高宮を殺………ぐあっ!」


「えー、聞こえないなぁー。もう一回。」


見てるこっちが可哀想になるくらい、ガタガタと震えている向こうの総長。


そんな向こうの総長を、容赦無く蹴り上げた未衣。


……痛そうだ。


「お嬢、手は出さないと組長とあれほど約束したでしょう。
それは我々の仕事です。」


そして、さっき湊と話していた組員がいつの間にか未衣の隣に立っていた。


……瞬間移動したのか?こいつ。


「手は出さないって約束したけど、足は出さないって約束してない。」


「……それ、屁理屈です。」


「皆を傷付けたんだから、死ぬ覚悟があるって事でしょー?」


ふふふ、と不気味な位この場に合わない笑い方をする未衣。



「どうやって死にたい?ん?
勝手に死んでくれるのが有難いけど、お前だけはそんな事許してあげない。」



……分かった。


未衣が笑ってるのは、自分を抑える為だ。


冷たい笑顔を剥がせば、すぐにでも向こうの総長を殺しに掛かると思う。


だからか、未衣からはとても殺気を感じる。


我慢しているのが丸分かりだ。