組員にとってお嬢は、篠原未衣は日々の溜まった疲れを癒してくれる存在であって
組員の中で絶大的な人気を誇っている。


小さい頃から、全員が全員して溺愛している為、篠原未衣の敵は自分達の敵だと公言する程だ。


つまり、篠原未衣を傷つけたトモヤスが許せないらしい。


……が、当の本当は元より裏切り者だと分かっていた為トモヤスを信用した事がない。


傷つけるも何も、トモヤスが篠原組に来た理由も、6年前にここに来て1週間で意味が無くなっている。


当然、今まで山崎組に流してきた情報も全てデマであり、スパイとしての仕事は何も果たしていないのを本人は知らない。



知らないまま、ここで死ぬだろう。



山崎組の情報も全て聴き終え、トモヤスにもう用事はない。


今は組員の壊れたオモチャだ。


「後は好きにしろ。」


つまらなくなったのか、篠原未衣に続いて篠原雅も部屋を出た。



「未衣、気持ち悪くなってないか?」


篠原雅がそう聞くのは、制裁の光景がとても気分の良いものではないからだ。


地獄絵図となっている拷問室は、堅気の人間が見れば即倒するだろう。



「全然大丈夫だよー?」


いつもの調子に戻った未衣は、ケロリとしている。


「なら良い。
明日は本家だ。ゆっくり休め。」



雅はつくづく、未衣に甘い。