「はぁ……はぁ……」
肋が折れているからか息をするのすら、ままならない。
「まっさか、うちにスパイが来るなんてなぁ」
「そんなバカ、とっくに居なくなったものだと思ってよ」
「そこそこ強かったけど、お前は頭が弱いもんなぁ」
「長いことスパイしてんのに、分かんなかったのか」
トモヤスが馬鹿だと蔑む組員達。
「まぁ、お嬢から許可は出てるし」
「たっぷり楽しもうなぁ?トモヤス。」
「まだまだこれからだぜ?」
「あ、まだ右腕殺ってなかったな」
「うっ……ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
裏切り者に、情けなんて必要ない。
それが、篠原組の教えだった。
両手両足、身体の至る所を折られ転がっているトモヤス。
もう、抵抗出来るはずもない。
そして、普段は制裁にそこまでは時間を掛けないのに、今日はやたらと長い組員達。
本人達の中で理由はちゃんとある。
それは、トモヤスの言った言葉が原因だった。
ー「翼さんからの命令だったんだよ。
篠原未衣を完全に信用させて、そっから裏切ってボロボロに傷つけろってなぁ!
すげー楽しかったぜ!ギャハハ」
そう言ったトモヤスは、組員の闘志を燃やし完全に自業自得な結果となった。