眠り姫と総長様 II


「……クソッ!」


何度電話しても繋がらない。


ガシャンッ!


湊はイライラが収まらず、幹部室に置いてあったドラム缶を蹴る。


そのドラム缶だって、つい最近置いた物。


未衣が居なくなってから湊が暴れて、幹部室の物を壊し出すから

丈夫なドラム缶置いたんだけど……
既に4個破壊されてる。


このドラム缶も、あと少しで壊れそうだ。


おっかしいなー。
ドラム缶って人間だけで壊れる事なんてあったっけ?



「おい湊。
お前いい加減寝ろよ!」


本当ね、副総長だから湊の子守は俺なんだよ?


いつもは未衣が居るから、こんな手のつけられなくなる事なんてなかったのに……



「……黙れ。」


仲間である俺たちですら睨まれる。

こいつに、俺たちの声は届いてない。


「寝ねぇと倒れんぞ!」


「……未衣が居ねえと寝れねぇんだよ!
あいつが居ねえと俺は…………」



こんな弱気な湊を、俺たちは初めて見た。