眠り姫と総長様 II



「てか、そもそも男性恐怖症のあいつに知らない男と寝るなんて事出来んのか?」


「「………」」


また、新たな疑問が生まれ、黙る俺たち。


「出来るわけねぇだろ。
あいつこの前拉致られた時、密室に知らない男といて過呼吸になってる。」


なら、尚更知らない男と寝るなんて事…出来るわけねぇか。


つか、俺たちそんな事知らねぇぞ。


そう思うと未衣も、湊の事を信頼しているって事で良いんだよな。


なぁ、未衣。


俺は心の中で、ここには居ない未衣に問いかける。




「未衣ちゃんは…ズルいね。」



あいつはズルい。


目の届く範囲に置いておかないとすぐに消える。


捕まえたと思っても、スルリと抜けて何処かに行く。


時折見せる 篠原組お嬢は、とても遠い人に感じる。


そのくせに、俺たちには必要不可欠な存在になり
あいつが居ないと、どうしようもなく不安になる。