「お前は、汚くなんかない。
穢れてなんかない。

……綺麗だ。」



「身も心も、穢れて…
汚い世界で生きる人間なんだよ!?
"あたし"も…"私"も!」


よくよく考えてみると、俺たちは未衣の過去を知らない。


一緒に居るのに、未衣は自分の事は話さないし

未だに、俺ん家に来る時に夜を出歩いていた理由さえ分からない。


なんで、自分家から逃げたのか分からない。



俺たちは……未衣の事を、何一つ知らない。



「俺はお前がどんな人間でも良い。
お前さえ居れば何もいらない。」



「…湊も、いつかは私の事を嫌う。」



未衣が、ワカラナイ。



「嫌わねぇ。嫌うはずがねぇ。
あんな事、今すぐ辞めろ。」


「私は辞めない。」


「お前は、俺の事だけを見ていれば良い。
俺の隣から離れるなんて許さねぇ。」



俺たちは、湊の深い愛を知った気がした。