「う、そ吐くな!」
「本当だよ?
その写真ぜーんぶ。」
未衣の肩を強く掴み、顔を歪めながら何度も同じ事を言う湊。
だけど未衣は、それに何の感情もない貼り付けた笑みを浮かべて肯定する。
「今すぐ辞めろ!」
だけど、その一言を湊が言った瞬間
「………」
未衣は無表情になった。
湊にも…俺たちに決して向けなかった冷たい目と共に。
「無理。」
言い切ったんだ。
さっきまで、湊とラブラブだったのに。
それが幻覚だったんじゃないかって疑うくらいに、冷たかった。
「な、んでだよ……
お前は俺だけを見ていれば良いんだ。
他の男なんて知らなくて良い。」
それに応えるように、男の顔をした湊。
「……あたしの初めては…!湊じゃないんだよ!
汚いの!穢れてるの!」
この時初めて、未衣が感情を現した。
未衣の初めては…湊じゃ、ない……?
その事実に、時が止まった。
もちろん湊も。


