眠り姫と総長様 II


「う、そ吐くな!」


「本当だよ?
その写真ぜーんぶ。」


未衣の肩を強く掴み、顔を歪めながら何度も同じ事を言う湊。


だけど未衣は、それに何の感情もない貼り付けた笑みを浮かべて肯定する。



「今すぐ辞めろ!」


だけど、その一言を湊が言った瞬間



「………」



未衣は無表情になった。


湊にも…俺たちに決して向けなかった冷たい目と共に。



「無理。」


言い切ったんだ。


さっきまで、湊とラブラブだったのに。


それが幻覚だったんじゃないかって疑うくらいに、冷たかった。



「な、んでだよ……
お前は俺だけを見ていれば良いんだ。
他の男なんて知らなくて良い。」



それに応えるように、男の顔をした湊。


「……あたしの初めては…!湊じゃないんだよ!
汚いの!穢れてるの!」


この時初めて、未衣が感情を現した。




未衣の初めては…湊じゃ、ない……?


その事実に、時が止まった。


もちろん湊も。