「未衣、ちゃんと飯食ってるか?」
「…食べてるよー?」
「嘘吐くな。
少し痩せた……」
夏輝に声を掛ける前に遮った湊。
いつもの甘さに加え、俺たちには気付けなかった些細な変化に気づき少し切なげだ。
「んー、自分の姿なんて見ないから分からないや。
でも、湊もちゃんと寝てる?
隈が出来てるよ?」
さり気なく自分の隣に座らせた湊。
お互い向き合って、未衣は湊の目の下を親指でなぞる。
「…未衣に会えないと眠れない。」
「……じゃあ寝る?」
「いや…まだ話す事あるから寝ない。」
「そぉー?無理はダメだからね?」
「あぁ。」
久しぶりに見た二人の甘い世界。
完全にお互いの事しか見えていなく、俺たちの事は完全に忘れてる。
…まぁ、いつもの事だけど。
日常とは恐ろしいもので、この二人の"これ"が見られないとなんか物足りなかった。
最近、二人の時間が無かったらしいから俺たちは気を使って少し黙っててやる事にした。


