眠り姫と総長様 II


カン カン カン カン


規則正しい階段を上がる音が聞こえる。


この足音は、未衣のものだ。


ガチャ


「みんな久しぶりー。」


そして何も知らない未衣はいつもの緩い喋りと、周りを温かくさせる笑顔で幹部室に入って来た。




何一つ変わらない未衣。


ただ一つ違うのは、俺たちの心情。


夏輝は最初の頃のように未衣を敵意むき出しで睨んでいる。



「未衣ちゃん久しぶりー!
会いたかったー!」


「未衣ちゃん元気?久しぶり。」



なるべく自然に聞きたかったから、俺たちは普段通り未衣に振る舞う。


「よぅ未衣。久しぶりだな。」


夏輝以外の奴も挨拶をする。


「?なっちゃん久しぶりー。」


挨拶をしない夏輝を不審に思ったのか、挨拶を自分からした未衣だけど


「ふんっ」


夏輝はそっぽを向く。