カン カン カン カン
規則正しい階段を上がる音が聞こえる。
この足音は、未衣のものだ。
ガチャ
「みんな久しぶりー。」
そして何も知らない未衣はいつもの緩い喋りと、周りを温かくさせる笑顔で幹部室に入って来た。
何一つ変わらない未衣。
ただ一つ違うのは、俺たちの心情。
夏輝は最初の頃のように未衣を敵意むき出しで睨んでいる。
「未衣ちゃん久しぶりー!
会いたかったー!」
「未衣ちゃん元気?久しぶり。」
なるべく自然に聞きたかったから、俺たちは普段通り未衣に振る舞う。
「よぅ未衣。久しぶりだな。」
夏輝以外の奴も挨拶をする。
「?なっちゃん久しぶりー。」
挨拶をしない夏輝を不審に思ったのか、挨拶を自分からした未衣だけど
「ふんっ」
夏輝はそっぽを向く。


