正直言って、俺は信じたくない。
何度も言うようだけど、未衣はそんな事するような奴じゃないって知ってるから。
一緒に住んだ事のある俺だから言える事もある。
何も知らなかった家事を覚え、
卵の割り方すら知らなかった料理を基礎から出来るようにして、
決して弱い部分を見せず、涙を流さない。
最初の頃なんて、男が怖いくせに強がって何でもない風にしていた。
人一倍努力して来た未衣を知っているから……
自分の居場所を探していた未衣を知っているから……
それを自分から今の幸せを壊す事なんて有り得ない。
少なくとも俺ならしない。
13時。
未衣が来ると言っていた約束の時間。
どんなに忙しくても、時間厳守の未衣は1分もしないで来ると思う。
俺たちの心情なんて知らずに。


