眠り姫と総長様 II


「翼さんが、こっちに来た時に金で雇ったんだ!
龍神をだんだん潰していけって!」


「ふーん」


「だからい、命だけは!」


自分の持っている情報を全部吐いた男は、命欲しさに女の脚に縋ろうとする。


「っぎゃ!………グエッ!……」


しかしそれは叶わず、今まで動く事も話す事もしなかったもう一人の男が
女に縋ろうとする男の腕を容赦なく踏む。



「…未衣に触るな。下衆。」


未衣とは、お嬢と呼ばれる女の名前。


「っ!……ぅ……」


顔面を蹴られ、男は声にならない悲鳴をあげる。



「その汚い腕、へし折ってやる。」


女に触れようとした男を、冷たく見下す男。


その瞳は嫉妬と憎悪で溢れている。