お嬢以外の俺たちは喋らない。
ウチの幹部も状況は飲み込めなくても空気は読んだらしい。
「…ならてめぇに用はねぇ。」
「あぁん?女だからって粋がってんじゃねぇぞ!」
「……湊。
さっきのそれで口塞いどいて。」
「了解。」
池田の話を無視して湊に指示を出したお嬢。
うわ…オイルまみれの汚いタオルで口を塞がれてる。
臭いと口の中に広がる味に眉を潜めてる。
あまりの激臭に池田は大人しくなった。
御愁傷様です。
残るのは、もう一人の男。
「……おい。クズ2。」
「俺はクズじゃねぇ!
田中ヤマトだ!」
ご丁寧に名前を教えてくれちゃった男。
え、こいつバカ?バカだよな。
「てめぇは山崎組の人間じゃねぇよな。
城田蓮を殺ったのは何でだ。」
男を見下しているお嬢。
俺たちから見ても迫力があるんだから、この男から見たら相当怖いと思う。
「教えるわけねぇだろ!」
「てめぇは質問に答えてればいいんだよ」


