眠り姫と総長様 II


お嬢以外の俺たちは喋らない。


ウチの幹部も状況は飲み込めなくても空気は読んだらしい。


「…ならてめぇに用はねぇ。」


「あぁん?女だからって粋がってんじゃねぇぞ!」


「……湊。
さっきのそれで口塞いどいて。」


「了解。」



池田の話を無視して湊に指示を出したお嬢。


うわ…オイルまみれの汚いタオルで口を塞がれてる。

臭いと口の中に広がる味に眉を潜めてる。


あまりの激臭に池田は大人しくなった。


御愁傷様です。


残るのは、もう一人の男。


「……おい。クズ2。」


「俺はクズじゃねぇ!
田中ヤマトだ!」


ご丁寧に名前を教えてくれちゃった男。

え、こいつバカ?バカだよな。


「てめぇは山崎組の人間じゃねぇよな。
城田蓮を殺ったのは何でだ。」


男を見下しているお嬢。


俺たちから見ても迫力があるんだから、この男から見たら相当怖いと思う。


「教えるわけねぇだろ!」


「てめぇは質問に答えてればいいんだよ」