「バケモノ……」


ひでぇな……


でも、1人で組を潰すなんて不可能じゃ……


「はっ…!
今のは忘れてや!
これは裏社会で禁句ワードなんやっ!
もし誰かが聞いてたらいくらお前らでも殺されてまう!
すまん!今のは忘れい!」



……と、突然真っ青な顔で忘れろという男。


この男が何を思ってそう言ったのか、分からない。


「これだけはダメやったんや!
すまんすまん。
真面目に今のは忘れろ。」


「……んな事聞いた事ねぇぞ。」


「そりゃそうや!
あの事件は篠原組が総出で動いてもみ消したんやから。
知ってなくて当然や。」



もみ消したって……


こいつの話を聞いてると、俺たちの知っている未衣がどんどん離れていく。


聞きたくねぇ。



「まぁいい。高宮湊。
篠原未衣は必ず俺がもらう。」


「……未衣は渡さねぇ。
必ず潰す。」


「ふんっ、俺はもう行くわ。
また会おーや、高宮湊。」


「……二度と現れるな。」



それだけ言って、車に乗り込み去っていった男。


まるで嵐のような男だ。


いきなり現れてしっさと消えるとか……



まぁ取り敢えず、この先嫌な予感がするのは確かな事だった。