「俺っちさっきも思ったんだけどさ、
姫ちゃんって二重人格?」
「違うよ?
あたしはあたしで、私は私。」
「それってどういう事?」
「仕事してる大人ってさ、仕事とプライベートでオンとオフって切り替えるでしょ?」
「そうだね。」
「それと同じ。
プライベートは"姫野未衣"。
仕事の時は"篠原未衣"。
切り替えてるの。」
つまり、俺たちと居るときは完全にプライベートらしい。
家に帰ると仕事になる、と。
「信じられないけど……そっか。」
「そういうことー」
怖がられる事を恐れていた未衣は、案外普通の反応をされてビックリしているが
その普通の反応が嬉しそうで、笑顔だった。


