眠り姫と総長様 II


「未衣がキスしてくれたら治る」


俺だって不安だ。


あの時の未衣は、俺たちの知ってる未衣じゃなくて……

1ヶ月に1回行われる会合で見る篠原未衣でもなくて……


最強にして最恐と裏社会で言われる、篠原組お嬢だった。



でもあの時の未衣は、閉じ込めて置かないと消えてしまうような……

儚さが増して、不安だった。


だから、こうやって未衣に触れてないと
今だって不安で仕方ない。



そんな俺の心情を読み取ったのか、


「湊、"あたし"はここに居るよ。」


妖艶な微笑みと共に、俺にキスを落とした。


一瞬で離された唇。


たったそれだけの行為で俺の心は満たされた。