「未衣がキスしてくれたら治る」
俺だって不安だ。
あの時の未衣は、俺たちの知ってる未衣じゃなくて……
1ヶ月に1回行われる会合で見る篠原未衣でもなくて……
最強にして最恐と裏社会で言われる、篠原組お嬢だった。
でもあの時の未衣は、閉じ込めて置かないと消えてしまうような……
儚さが増して、不安だった。
だから、こうやって未衣に触れてないと
今だって不安で仕方ない。
そんな俺の心情を読み取ったのか、
「湊、"あたし"はここに居るよ。」
妖艶な微笑みと共に、俺にキスを落とした。
一瞬で離された唇。
たったそれだけの行為で俺の心は満たされた。


