ふんわりとした、くるくるの赤みがかった茶色の髪。
睫毛の長い、二重の瞳。
右目の下にある泣きぼくろが、どこか綺麗だった。
整った顔立ちをしている。
かっこいい……。
あたしは思わず見とれてしまった。
「な、何しているのこんな所で」
「えっ……」
「もうすぐ雨降るって天気予報で言っていたんだよ」
パチパチと瞬きをしながら、彼は言う。
声代わりを終えているのか、低くて良い声をしていた。
世に言うイケボってやつなのだろうか?
「へ?本当ですか!?」
「本当。
早く帰らないと濡れるよ」
「あ、ありがとうございます」
あたしは鞄の中から、家の鍵を取り出そうと漁る。
そして、気が付く。
「………」
家の鍵が、ない。


