僕は考えを消すように、美音ちゃんを強く抱きしめた。

起きる気配なんてなくて、可愛い寝息を立てている。



しかしなぁ。

まさかこの僕が、年下に手を出すとは。







もう、

恋なんてするものかと決めていたのに。






全部、全部、全部!

アイツ―――沢井基樹に取られるんだから。

僕が目を付けたもの、全部アイツは奪うんだから。





美音ちゃんは。

美音ちゃんだけは。

―――アイツに、取られたくない。

奪われたくない。





でも、良いんだ。




もし美音ちゃんがアイツが好きで、戻りたいと言いだしたら。

良いよ、素直にアイツに渡そう。




そうしたら、

未練なく……