☆季side☆
泣き疲れて僕の腕の中で眠っている美音ちゃん。
可愛いんだけど……。
この子いつか誰かに襲われそうで、不安もある。
1度きり。
1度きりで良かった。
美音ちゃんに会うのは、1度で良いと思っていた。
なのに…何で。
何で今、僕の目の前には美音ちゃんがいるんだ。
まさか海辺を散歩していたら、また会うなんて。
そして手を繋いでスーパーまで買い物に行くなんて。
…美音ちゃんとアイツが付き合っていたことを聞くなんて。
美音ちゃん、アイツが好きだったのかな?
憧れだったと美音ちゃんは言っていたけど。
もし、アイツに何もかも取られたら?
駄目だ。
アイツのことなんて考えない方が良い。
もうこれ以上アイツに取られたら。
美音ちゃんまでアイツの所に行ってしまったら。
今度こそ、
僕は――――――――……。


