私の言葉を聞き、振り向いた翠くんは
微かにだけど微笑んでいた











「ありがとう
その気持ちだけで救われたよ」











そんな悲しい表情で言われても説得力ない

嘘だってバレバレ





きっと今までの私ならここで引き下がってたと思う

でも私は変わるんだ!


だから何も恐れずに立ち向かうんだ!











「そんなの嘘だよ!
本当は辛くて悲しいんじゃないの?なんで隠すの?お願いだから私を頼って!」





「………」











何を考えているのか翠くんは黙り込む





たとえ面倒くさいと思われても

それが少しでも翠くんの心の鍵を開けるキッカケになるなら私は何でも出来る








ずっとジーッと見つめていると
ふと、翠くんの口が言葉を紡ぎ出す











「俺は分かったふりして何も分かってない
忘れようとしてるふりして、二人を見てどうにかして取り戻したいって思ってた」











それは当然だよ



好きなのはだれにも止められないんだもん











「春也に取られて、取り返せないってわかって怖くて結局思いも伝えれなかった
本当に意気地なしでダメな奴だよ俺は」











そう言って私に背中を向ける翠くん





何かに必死に耐えているようなそんな背中がとても弱々しくて

もっともっと思いを話してほしいって思う