溢れた涙が頬を伝い落ちる。

泣きたくないのに、泣いちゃいけないのに……

そう思っても、涙は止まらない。
堰を切ったように溢れ出してくる。

視界は滲み、もはや何も見えなかった。

このままでは置いていかれてしまう。
また、一人になってしまう。

何も覚えてなんかいないのに、そう思った。

その時、何者かがふわりと私の体を包み込んだ。

私より少し高い体温。
ゆっくりと、一定の速さを刻む鼓動。
何より、華奢でありながらも私より一回りほど大きなその身体に抱きしめられているという事実が私を安心させた。

「もう大丈夫。
何も怖くなんかないよ。
俺が傍にいる。
一人になんかしないから、
だから泣かないで。ね?」

私は一人ではない。
そのことに気がついた時にはもう涙は止まっていた。

安心感に包まれたまま、私はゆっくりと意識を手放した。