そんな精一杯の言い訳を心の中でしてから、名前を呼ぼうと口を開いたとき、



「……!」



ドアの隙間から見えた、ベランダにいる美生の姿。



綺麗だ、と思った。

雨降る夜空を見上げる少し寂しげな目も、風に靡く下ろした髪も、全部。

息をするのも忘れるくらい惹き込まれて、囚われた。



「……っ」



その憂いを帯びた横顔は、何を思っているんだろう?

他人のことなどどうでもいい筈なのに、そんなことばかりが頭を駆け巡った。



「……千速くん?いるの?」



不意にそんな声が聞こえ、困惑してしまう。



「あ、あぁ。……晩飯いるか、聞きにきた……」