「理由はわかるな?」

「……まぁ、大体は」



俺が答えると、担任は小さく息を吐いた。



「お前だけだぞ、白紙で提出してるの」

「……」

「親御さんが忙しいのもわかるけどな、ちゃんと話し合う場を設けて、自分の将来を見つめてみなさい」



言いつつ、無記入の進路希望の紙を俺に渡す。

その場で破り棄ててしまいたい衝動をぐっと堪えた。



「いつまでですか、これ」

「今週中」

「……わかりました。失礼します」



軽く一礼し、職員室を後にする。

生徒で溢れかえる廊下で、内心毒づいた。