巡逢~茜色の約束~

そういうときもあるだろう、そう思ってその日は眠りについた。



が、翌朝、いつもは飛んでくる美生の元気な声はなく、一週間ぶりにアラームの機械的な音で目覚めた。

流石に心配になり、美生の部屋の戸を数回叩く。



「……美生?」



呼び掛けても返事がない。

ただ虚しく、ノックの音が響くだけ。



まさか死……いやいや、そんなことあるわけねえ。

あるわけねえ──そう思うけど、嫌な予感が拭えない。



「無断で部屋には入らない……だったな」



それは、こんなときにも適用されてしまうのか?



「……」



人を心配なんてしたの、いつぶりだ俺。

そんなことを思いながら、再びドアをノックする。

と、部屋の中から微かにか細い声が聞こえた。