悩みに悩んでデザインを決めたドレスを褒められ、彼女は嬉しそうに微笑む。



「友人代表のスピーチ、頼んだぞ」

「任しといて」



差し出された手を軽く叩き、その場を離れた。

新婦側の来賓で挨拶を終えた後、俺は足を止めた。



「……千速くん?」

「……」



まさかこの場所に2人の姿が在るなんて、結婚が決まった頃には予想もしてなかったよ……父さん、母さん。



「……行こうか」



表情に困惑の色を浮かべていた彼女に声をかけ、歩みを進める。