巡逢~茜色の約束~

泣きながら満面の笑みを浮かべた美生の姿が太陽に照らされて、不謹慎だけど綺麗だと思った。

その笑顔を、記憶に深く焼き付けよう。

60年先も、鮮やかに思い出せるように。



「最後にひとつだけ……我が儘言っていいかなぁ?」

「……こういうときはいつも、断りなく言ってたろ」

「あはは、そうでした」



2人、泣きながら笑った。

もしかしたら俺は、すごく不恰好な笑みかもしれないけど……これが最後だってわかってたから。



「忘れないでいてほしい。私のこと、一緒に過ごした時間のこと」



そんなの、我が儘でもなんでもねえじゃねえか。



「当たり前だろ。俺を変えてくれた美生のこと、忘れる筈ない」