「このクラスの全員が証人だよ。……じゃあな」



でもごめん、本当なんだ。

美生がいなくなるっていう事実が、俺の目に映る世界の全てから、色を奪う。

楽しかったことすら、楽しくなくなるんだ。



掴まれていた手を振り払って、今度こそ教室を出る。

それでも桜井は引き下がらなかった。



「俺言ったやん!何かあったら聞くって!1人で抱え込むなって!」

「……」

「俺等、千速の力になりたい。千速のしんどいこと理解して、一緒に乗り越えていきたいねん」



桜井の真っ直ぐなその言葉は、何よりも俺の心を抉った。



「──お前等にはわかんねぇよ!」