巡逢~茜色の約束~

電車組の2人と別れ、家までの道を再び歩き始める。

薄暗くなった空を見上げては、溜め息が溢れた。



「もう、どうしようもねえのかな……」



流れゆく雲が、1秒前にいた場所に戻れないように。

太陽が沈んでいくのを、止められないように……。



じゃあもう諦めるしかない?

潔く身を引くしかない……?



「くそ……っ」



美生はまるで、迷宮だ。

出口がどこにあるのかわからないし、そもそもそんなもの存在しないのかもしれない。



前に進むことが出来ないこの状況で、俺はただ足踏みをするしかなかった。





外からベランダを見上げると、リビングの明かりはついていた。