巡逢~茜色の約束~

それじゃ失礼します、と頭を下げてから、ソイツはいつかと同じように颯爽と去っていった。



「相川、試合出るん?」

「多分な」

「ポジションは?」

「サード」



また胸が嫌な波を立てる。

高校3年間野球して、大学生になっても続けられる相川が羨ましくて羨ましくて、たまらない。



だって本当なら、俺だって──。



「じゃあ、俺等、試合観に行かん⁉︎」

「……え」



明るいトーンで、紛れもなく俺に投げ掛けられた言葉は、俺の心を凍りつかせた。

観に……?



「……悪い、俺、パス」



無意識のうちに、左手で右肩を抑えている俺がいた。