巡逢~茜色の約束~

「住んでたって言ってもこの辺じゃないし、……13歳やそこらじゃ遠出しないから」

「……それもそうか」



距離感が難しい。

全く関わりのない人間相手なら、壁を作っておけば向こうもこちらに来ることはない。

けど、コイツは──美生は違う。

同じ屋根の下で生活している以上、他人と全く同じ扱いでいい筈がない。

それをわかったうえで同居を許可したし、今もそれは変わらないけど、

……一種のブランクってヤツかな、どこまで関わってもいいのかがわからないんだ。



「……ご馳走様。美味かった」

「そう?ならよかった。お風呂も沸いてるからね」

「あぁ」



こんな、他人からしてみれば当たり前のような会話も、やっぱり慣れなくて。

懐かしいような……そもそもが初めてなような。

そんな不思議な感覚に見舞われたまま、その日は眠りについた。