巡逢~茜色の約束~

「……はっ」



ほんと、クソみてえな世の中だよなぁ……。



未来に希望なんてない。

未来を思い描けない。

なのに、現実は嫌でもやってきて。



「……またどやされるしかねえのかな」



はぁ、と深い溜め息を吐き、重い足取りでホームルームが始まる直前の教室に戻った。





準備初日は、全学年全クラスの看板係が集まる裏庭で簡単な打ち合わせをした。

どんなデザインにするかを芹沢と2人で話し合ったけど、殆ど芹沢に任せっぱなし。

それでも嫌な顔一つしない芹沢を逆に不思議に思ったりもしたけど、ぎゃあぎゃあ言われるよりよっぽどいいので、その状況に甘えた。





──ガチャ……

玄関の扉を開けると、美味しそうな香りが漂ってきた。

リビングの扉を開けると、キッチンから美生が顔を出す。



「おかえり。遅かったんだね」

「あぁ。担任に捕まってた」