巡逢~茜色の約束~

「そう言ってもらえて嬉しい。ありがとう」



美生が何かを含むように笑うから、心臓が嫌な波を立てた。

その波に飲み込まれてしまわぬよう、不安を押し殺して気丈に振る舞う。

失敗した、なんて考えたら、その瞬間にそれが本当になってしまう気がしたから。



「さっきの時間、何してたの?」

「さっきって……美生が俺を追い出してる間?」

「うっ……それはほんとごめんなさい……」

「嘘だよ。それなりに楽しんできたし」



数秒前まではしおらしかった美生の表情が、ぱっと明るくなる。

くるくるくるくる、やっぱり美生は見ていて飽きない。