巡逢~茜色の約束~

「……!」

「どう……?」

「……美味いよ、これ。すっげぇ美味い」



率直な感想を口にすると、美生は本当に嬉しそうに笑った。



「よかったぁ。内心ドキドキしてたの」

「はは、なんで」

「だってこれだけ作って失敗してたら嫌じゃん。一応味見はしたけど、千速くんの口に合わなかったらどうしようって」



そんなこと考えてたのか……。

……馬鹿だなぁ。



「……美生の料理が口に合わないなんてことあるわけないだろ」

「……!」

「おばあさん直伝の美生の料理、俺全部好き」



ギリギリのライン。

見えない境界線の上を今までもずっと歩いてきたけど……これはどうだろう。