巡逢~茜色の約束~

そのまま俺の腕を掴んで、控え室へと連れて行かれた。



「千速のアホ」



開口一番そんな言葉を投げかけられ、俺は口を固く結んだ。

そんな俺を横目に見ながら、桜井は呆れたように笑う。



「せっかく打ち解けてきたのに、めんどくさいはあかんてー」

「……」

「見たいって言ってくれてんねんからさ、着替えるくらいしよや。これも思い出」



言い返す言葉がない。

今の俺、叱られた子供みてえ。



「ほら、早く着替えろー。みんな待ってんで」

「……ん」



促され、俺は漸くブラウスのボタンに手を掛けた。





着替えて教室に戻ると、待ってましたと言わんばかりにみんな席を立った。

いつの間にか来ていた担任が、教卓の上にデジカメをセットしている。



「ほら、早く早く」