中々受け取らない美生に、苛立ちを露わに言葉を投げかける。



「それ洗濯したら服ねえし、目立つ。いいから適当に買ってこい!」



この生活がいつまで続くかわからない。

だけど、家出している間ここにいることを認めたなら最低限のことはすべきだと思う。

金なら親が置いていったのがあるし、何とかなる。

……まぁめんどくせえけど。



「あ、ありがと……」

「あぁ。ついでにティッシュ買っといて」

「う、うん」



最後の一口を食べ終え、手を合わせる。

食器を運ぼうとしたら怒られた。





「これ合い鍵。好きに使え」

「ありがとう」

「じゃあ行ってくる。洗い物頼んだ」

「はーい」



そんな会話を交わし、家を出る。

振り返って見た家はいつも通り聳えるように建っていて、嫌気がさした。