巡逢~茜色の約束~

どこのロマンチストだ、という言葉は飲み込んだ。

不覚にも、悪くない、と思ってしまったから。



「……勝手にしろ」



10年後、俺達はどんな未来を歩んでるんだろうな。





文化祭終了のアナウンスが流れ、生徒達は各自の教室へと戻っていった。

時間内に食べきれなかったチュロスを片手に教室の扉を開けた俺達を待っていたのは、盛大なブーイングだった。



「なんで着替えちゃったのよー」

「せっかく似合ってたのにー!」



どうやら俺達が制服に着替えたことが気に入らなかったらしい。



「今から記念撮影するからさ!もう一回着替えてきてよ」

「……はぁ?めんどくせ──」

「おー、ええよええよ!行こ、千速!」



眉間に深い皺を刻んだ俺の言葉を遮り、桜井は明るく言葉を返す。