巡逢~茜色の約束~

「はー、笑った。明日には腹筋割れてそう」

「……もう割れてんだろ」

「見んなよ」

「……この前の体育で見せてきたのお前だろ」



会話の主導権は、いつも桜井。

桜井のペースに巻き込まれて、惑わされて……なんだかんだ、楽しい。



「っしゃ、休憩もしたし、そろそろ行こか」

「一人で行ってらっしゃい」

「なんで。千速も行くねん」

「……まだ疲れてんだけど」

「何言ってんねん、若いのに」



立ち上がった桜井に腕を強く引かれ、半ば強制的に立たされる。

桜井が言っても聞かない性分なのはよくわかってるので、渋々財布をポケットに突っ込んだ。



「……リアル人生ゲームはもう御免だぞ。昨日すっげえ恥ずかしかったんだからな」

「はは、車被った千速めっちゃおもろかったわ」

「お前なぁ……」

「あ、勿論写真撮ってあるからな。いるんやったら言って」