巡逢~茜色の約束~

俺達2人が選んだのは、全国大会なんかにも出場している、地元の強豪チーム。

ひとつ上の先輩が、お前達なら通用するって言ってくれたから、加入を決めたんだ。



練習はやっぱり過酷で、先輩は比べものにならないくらい巧くて。

だけど、それすらも楽しかった。

野球に打ち込む毎日は、多分、何よりも幸せだった。



たったひとつ、両親の存在を除いては──。



両親は相変わらず不在で、家事は一通りこなせるようになってた。

こう見えても、煮物とか超得意なんだぜ、俺。



シニアチームに入るとき、メールで伝えた。

返信は、わかった、の一言。

そして少ししてから、加入のための手続きが終わったと、再び連絡が入った。



小学校を卒業するときも中学に入るときも、アイツ等は式には来なかった。

そのクセ、必要な手続きだけはちゃんとしてやがる。