欠点なんか探しても見つからないんじゃねぇかって……そんなヤツだった。



学校が終わった後、公園で遊ぶ約束をしててさ。

俺はいつもみたいに、虫採ったり鬼ごっこしたりするんだろうと思ってた。

けど、公園に現れたソイツは、自転車を止めるなり、カゴに入っていたグローブを徐に俺に差し出してきて。

一緒にやろうぜって、そう言った。



ソイツは普段から父親とキャッチボールをしてたらしくて、小学校低学年のわりには巧かった。

一方の俺は、散々だった。

まぁそうだよなぁ、グローブはめるのも初めてだったんだ。



大丈夫、俺なら出来る──そう思って投げたボールは地面に打ち付けられて、コロコロと転がってった。

それが情けなくて悔しくて、家に帰って泣いたっけな。