巡逢~茜色の約束~

ソファーに深く腰掛け、彼女は気持ちよさそうに眠っていた。



「……」



美生の無防備な寝顔を見て、ふう、と息を吐く。

すやすやと眠っているところを見ると、今すぐには起きそうにない。



「……ったく」



再び鞄を持って、自室へ向かう。

ベッドに脱ぎっぱなしにしていた部屋着に着替え、俺はカーテンを閉めようとベランダに近づく。



「……あ」



思わず手を止める程の三日月が、群青色の夜空にぽっかりと浮かんでいた。



「……綺麗だな」



差し込むか細い月明かりに、カーテンを閉めることなく部屋を後にした。





その足でキッチンへ向かい、現状を確認する。

多分、今日はお好み焼きにでもするつもりだったんだろう。