巡逢~茜色の約束~

「……何にやけてんねん、千速」

「……別に」



言われて、思わず口元を抑える。

それでもやっぱり、隠しきれなくて。



「なんか……今の千速、最高に気持ち悪いわ」

「……うるせ」



そんなことを考えてたからかな。

今すごく、君の笑顔に会いたい。





文化祭1日目が終了し、玄関の扉を開く。

部屋から溢れる光に口元を緩ませつつ、靴を脱いだ。

リビングに足を踏み入れるも美生の姿は見えず、ただテレビの音が響くだけ。



「……美生?」



鞄をその場に置き、ソファの向こうに回り込む──と。



「……あ」