巡逢~茜色の約束~

文化祭1日目は特に大きなアクシデントもなく、順調に進んでいった。

訪れた客を蒟蒻で適当に驚かせ、当番が終われば適当に桜井と他の教室を回る。

それは高校生にとってはごく普通の、だけど、俺にとっては予想もしていなかった出来事で。



「千速、次あっち行こや」

「……子供かよ」

「言っとき!ほら、早よ行くで!」

「ちょっ、引っぱんなよ!」

「ええからええから!こんなん、楽しんだもん勝ちやで」



本当に……想像もしてなかった。

今までずっと、中身のない毎日を送っていたから。

こんな笑顔ばかりの空間で、俺だけは別世界にいるような気さえしていたから。



──だけど、今は。



「リアル人生ゲームやて。おもしろそうやな」

「……やりたいんだな、その顔」

「え、顔に出てる?」

「ばっちり」