巡逢~茜色の約束~

さっきとは打って変わってケラケラと笑う桜井に、呆れ混じりの溜め息を返す。



「その分お前が煩いから丁度いいだろ」

「せやなぁ、確かに──って、なんでやねん!聞き捨てならんわ!」



眠たい授業が一切ないので、教室……いや、学校の雰囲気がいつもより明るい。

今のこのモヤモヤを忘れる手っ取り早い方法が、目の前に転がされているじゃないか。

……実際には転がってはないんだけど。



「ほら、もうすぐ始まんぞ。お前フランケンなんだから、それっぽくしてろ」

「……俺、よかったんかな?」

「あ?」

「いや、だって。俺なんか、転校してきたばっかで準備も途中参加やのに、こんな役やって……」



なんだ、そんなことか。



「仕方ねえだろ、フランケン役のヤツが脚折ったんだから」

「そうじゃなくて……!」