巡逢~茜色の約束~

それがなんだかすごく悔しくて苦しくて、その後に続く筈の言葉全てを飲み込んだ。





「はーぁ……」



今日何度目の溜め息かなんて、最早もうわからない。

そんな俺にうんざりとした目を向けた桜井は、フランケンの衣装に身を包んでいる。



「なんやねん、さっきから。文化祭やっちゅーのに、溜め息ばっか」

「……別に」



言いつつ、どかっと椅子に座り込んだ。



昨夜の映画はラストまで観たものの殆ど内容は頭に入っておらず、その後どうやって部屋に戻ったかさえ覚えていない。

すっげぇもやもやして、それを取り除く方法を必死で探して……気がつけば、窓の外は明るくなっていた。



「ええなぁ、千速。殆ど裏やろ?」

「……あぁ。愛想ねぇからな、俺」

「そこは否定せん」