『お前なんか……!』



ぐにゃり、と視界が歪む。

あぁこれは──あのとき見たのと同じ光景。

俺を見下ろすアイツは、怒っているのか悲しんでいるのか、それとも笑っているのか。

周りの音がやけに煩くて、右半身が尋常じゃないくらい痛くて。



『お前なんか……いなければよかったのに』



その言葉が耳に届いた瞬間、世界はまた、色を変えた。



『入学手続きはちゃんとしておいた筈だから。不備があれば言いなさい』

『私、この後パリに向かうから。何かあればメール入れておいて』

『名古屋支店を視察してくる。その後は広島と福岡だ。3週間は帰らない。俺がいなくても大丈夫だよな、千速?』



ふざけんなよ……。

こんな状態の息子に、よくそんなこと言えるよな。