俺の言葉に、芹沢は首を大きく振った。



「ちっ、違うよ……!綾瀬君はちゃんと作業してるって、本当は私が言わなきゃいけなかったのに……」

「芹沢は何も気負うことねえよ。今まで非協力的だったのは事実だし、クラスのヤツ等が俺を嫌ってても不思議じゃない」



ペンキが乾ききっていない看板に視線を落とす。

少し前を向いてみよう、なんて思ってみたところで、現状はマイナスだ。



「だから──」

「そんなことない!」



俺の言葉を遮るように、芹沢は声を荒げた。

普段大人しい芹沢からは想像もつかないような、そんな声。



「じ、自分のことだからって、そんな風に言わないで……」



肩も声も震えてて、今にも泣き出しそうなのに、彼女は言葉を紡ぐことをやめなかった。